即日クロージングのメリット・デメリット

昆知宏

先日前から気になっていた車を見に、自動車ディーラーに行ってきました。

今の車がどうも怪しくなってきてので本格的に壊れる前にどんな車か見てみたい、試乗してみたいという軽いノリだったのですが魅力的なオファーを受け買いそうになってしまいました。

担当者は中堅ベテランのような印象で、丁寧で余計なことは言わずに誠実で好感のもてる印象の方でした。

試乗が終わって定価の見積もりをもらって帰ろうと思ったのですが、見積書を前に希望額をお伝えくださいという流れになりました。

私も営業経験だけはあるのでこの手のやりとりは不得意ではありません。

20-30万の要求なら困ったふりして全然通るはずで、希望額が通ったからとこちらに断る理由をなくしてクロージングをかけるのは教科書的な方法ですよね。

つまり最初の一手は無茶な指値を入れて様子を探ることがお客さん側からすれば定石の一手と言えます。交渉がまとまらなくても困らない額で、主導権をまず取りたいなと思ったのです。

そこで私は明らかに通らないのは知っているのを承知で64万の端数ギリの一手をまず切りました。

予想通りそれはさすがに…となりすぐさま店長案件になりました。

10分くらい待って定価から約50万円の値引きでなおかつ、気になっていた仕様とカラーのメーカー在庫がありこのご時世に即納条件でした。
※今自動車業界は深刻な在庫不足

事前にネットでも値引き限界ラインを調べていたのでSクラスな値引率です。正直、かなりお得なレベルです。

ただ次の瞬間、私は買うのをやめました。

もともと今日買うつもりでなかったこともありますが、好きでないクロージングカードを切られたからです。

なんだと思いますか?

それは、「今日中に契約」だったのです。

即日クロージングは諸刃の剣

商談は結局2時間半くらいかかったのですが、ついついこちらも職業病で交渉は本気なってしまい仕事日と同じくらいめちゃくちゃ疲れました。

妻からは鬼だねと言われましたが、営業マンは車が売れないと時間の無駄なわけですから真剣に商談をする客が真の顧客です。

私が営業マンだとしたら、成約確率が高そうなのでクロージングの組み立てをきっと考えます。

概ね希望額は通ったので一度持ち帰って、クールダウンしてからとりあえず決めたオプションではなくて、オプションを正確に決めて購入価格を確定してそこから今日ベースの値引率を叩き台にして次の回で回答だそうと思っていたのです。

しかし、最後の相手の一手が「今日中に契約」の一言だったので、さすがに今日の今日はまだ細かいオプションも決めてないんだし無理ですと残念ながらお断りの流れになりました。

担当者さんも歯切れが悪く、たぶん店長からインカムかバックヤードで司令を出されたっぽくて(笑)急にペースが乱れちょっとかわいそうだったです。

ここはどう考えても1週間以内の次アポ取りだろうと、お互いに思っていた感がありました(笑)

特に印象深かったのは、たぶん即日クロージングが本人の意思ではなくクロージングの時に急に自信なさそうになったというのが目に見えて分かりました。クロージングに自信がなさそう絶対にやってはいけないといことを再認識しました。

これは超大事です。
クロージングを受ける側になるとめっちゃ分かります。

お互いに2回目の商談へと進みたいと思いながらも、即決オファーを切られてしまっては次の回の商談へも進めずなんかお互いにすっきりしない終わり方になってしまいました。

ただ住宅業界でもそうなのですが、あえて即日クロージングのカードを切るのは、ここで再考されて次へ持ち越すよりも、この場で次はない覚悟でクロージング入れた方が決める人が多いからそうやるのです。

たしかに私も迷いました。
条件は悪くなかったからです。

しかし2回目に交渉のヤマ場を作るという私の得意パターンで勝負できないから、その勝負は降りることにしたいのです、

大袈裟かもしれませんが、自分の交渉のリズムは自分が客の時でも崩したくないからです。

なし崩しにすると仕事にも影響がでることを知っているからです。

いくらまでなら即決カードを切るべきか?

この時に私が感じたのは、金額の大小の影響はあるか?ということです。

例えば無料セミナーから個別相談へとクロージングするときに、即決オファーは絶対にやったほうがいいですね。

私は5,000円の初回相談をやっていますが、セミナーイベントの場合即決オファーで2,000円引きなどをよくやっています。

相談をするかどうかを迷って持ち帰ってもらう必要はなく、この場でするかどうかを決めてもらってボーナスを付けるという方法が最適解だと思っているからです。

相談は何かを買うわけでもありませんしね。

同じ理屈でコンサルティングのオファーをするわけですが、こちらは今後は5,000円という金額感覚ではありません。
一般的には高額な金額と思われるオファーになります。

その際は、私は即決オファーはしません。
一度持ち帰って十分に検討してからお返事をください。
このようにしています。

即決オファーをすれば決める人も多いと思いますが、ここは私が個人的に高額な買い物に即決オファーをかけられるのが嫌いなタイプなので、人にされたらいやなことを相手にしたくないという理由だけです。

じゃあ、金額の境界線はどこなのか?というところなのですがそれはよくわかりません。

それよりも初対面なのか、2回以上会ったことがあるかだけの問題で金額ではないような感じがします。

ここは十分に検討しがいのあるところで、大切なことは「自分が腑に落ちている」です。

何か自信がなさそうに見えてしまっては、それは相手にも見透かされます。

型にはめない

何よりも大事なのは、1対1の商談の場合は相手を観察することです。

相手の意向や様子を観察しながら即決オファーをかけたほうがいいのか、見送った方がいいのか。

大事なのはそこですよね。

型にはまったセールスは本当によく受けることが多いのですが、途中から不快になるレベルです。

途中までは良かったのに、急にハンドルを切られる感というか、ほとんどの営業マンはマニュアル的なものに頼ってしまっていて、クロージングをアレンジできていない感じがします。

それは単純明快、自分のことばかりで相手を見ていないからに尽きます。

話していて向こうからノリノリの人も商談をしているとたまにはいますよね。

そういう人は即決オファーでボーナスを付けて気持ち良くなってもらえばいいだけです。

しかし多くのお客さんはまずは様子見、警戒感があります。

それが当たり前でしょう。

自分の大切なお金とのトレードなのですから、そのほうが自然です。

そういった人に対しても一辺倒なクロージングをしていては、お互いにとって利益を生むことができません。

サービスを売るということは、自分だけの利益ではないのです。

相手にも利益があるからトレードは成立する。

こういった根本的なことを知っているかどうかで、伸びるセールスと伸びないセールス。もしくは上司。

ノウハウやひな形のクロージングに走らずに、お客さんと対話してお互いの利益の着地点を作るという発想は大事。

軽い気持ちでいったディーラーとの交渉が結果的に不本意な形で破談になったことで色々と勉強になりました。

たまにはガチで営業をされに行く経験は大事ですね。

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この記事を書いた人

昆知宏

新潟の住宅会社に営業として勤めた後、『特定の会社に属さずに、客観的な立場から住宅購入をサポートできるFPになりたい』という想いの元独立。住宅購入を専門とするFPとして、新潟でこれから家を買う方への相談を行っている。コンサルティングフィーは土地建物価格の1%と高額ながら、多くの顧客に支持されている。

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