執筆者:昆 知宏
長くコラムを書かせてもらっていた住宅系ポータルサイトでの仕事が、このたび打ち切りとなりました。
突然の知らせではありましたが、私自身としては「やはりそう来たか」という感覚のほうが強かったのが正直なところです。
というのも、ここ数年、住宅業界に限らずあらゆる分野で“ポータルサイトの存在感が急速に薄れている”と感じていたからです。
そもそもポータルサイトとは、複数の会社情報を一覧で比較できる“インターネット上の玄関口”として機能してきました。
しかし、ユーザーの行動が変わったことで、この役割自体が今まさに揺らいでいます。
ユーザーは「比較のための入口」を使わなくなった
かつて多くのユーザーは、住宅検討といえばまずポータルサイトを開き、施工事例や価格帯をザッと見て候補を絞り込んでいました。
しかし今は、ほとんどの人がその行動をしません。実際、あなた自身は何かを買うときにポータルサイトから入りますか?
私もそうですが、まず行うのは“悩みワードのダイレクト検索”です。
「新潟 注文住宅 相場」「フルローン 危険性」「住宅ローン 転職中」など、知りたいことをそのまま検索し、ヒットした専門ページを読み、数社を比較し、その中の1社に問い合わせる。
この導線が完全に主流になっています。
つまり、「入口としてのポータルサイト」という構造自体が時代に合わなくなっているのです。
他社依存の集客は、これからさらに厳しくなる
この変化は、掲載する側にとっても非常に大きな意味を持ちます。
ポータルサイトに掲載すれば自動的に露出を得られた時代は終わり、掲載費をかけても反応が期待できない。
他社と横並びになり埋もれてしまい、費用対効果が不透明になる。
いま、他社媒体に依存した集客はリスクが増す一方です。
しかも、ユーザーの行動は「自分の悩みに答えてくれる専門家」を自分で探し出す方向へシフトしているため、“一覧で比較される場”では価値を伝えきれないという根本的な問題もあります。
今回私の連載が終了したのは、私の執筆内容記事はアクセスは上位だったそうですが、それが掲載者の集客につながるわけではありませんので、ページ全体でアクセスは取れても結局はダイレクト検索を取れないと集客上は機能しないことが見て取れます。
また、ポータルサイトでの私自身の記事は読まれていたようですが、その記事がきっかけで私自身に相談に来た方は、2025年全体でも1組しかいませんでした。
つまり集客としてほとんど機能してないことになります。おそらく商圏外のアクセスを多数を占めていたのかもしれません。
これからのWEB戦略は「自社メディア × 濃いコンテンツ × CTA」
これからというよりもこれまでもこれからもWEB上の戦略は基本不変です。
だからこそ、これからのWEB戦略は完全に“ダイレクト検索”に軸足を移すべきです。
SEOを意識した記事で認知を獲得し、自社サイトに直接来てもらい、そこで密度の濃いコンテンツを読んでもらう。
そして自然にCTA(問い合わせ・相談予約)につなげる。
この流れこそ、最も再現性が高く、他社に左右されない導線です。
特に私たちFPは、ライフプラン・資金計画・地域特性を掛け合わせた“深い情報”を提供できる強みがあります。
これはポータルサイトでは絶対に代替できない価値です。
もしあなたが専門家ポータルサイトや外部広告からの集客へ依存度が高いようであれば、できるだけ早い段階で自社メディアの発信力を強化していくことが重要です。
即効性はないのですが、3か月、6か月、1年、3年、5年、10年と続ければ必ず自社の集客を支える絶対的な柱になります。しかも、広告費はほぼかかりません。