人間は働かなくてもよくなるのか?

つくばの自宅より
執筆者:石塚駿平
   

「AIやロボットが発展したら、人間は働かなくてもよくなる」

こんな話を聞いたことはありませんか?

確かに、仕事の大部分が自動化されれば、人間がやることは減り、自由な時間が増えるように思えます。

でも、僕はこれには少し懐疑的で、そう簡単な話ではないと考えています。

世の中の仕事がAIに置き換えられ、これから実世界にロボットが入ってきそうな今、このテーマについて考えるのは面白いと感じるので、一緒に考えてみましょう。

技術が発展しても、時間は増えなかった

少し歴史を振り返ってみましょう。

電話が発明された時、人々はこう考えました。

「直接会いに行かなくても話ができる。移動の時間が減って、楽になるはずだ。」

電子メールが普及した時も、同じような期待がありました。

「手紙を書いて郵送する手間がなくなる。コミュニケーションが効率化される。」

でも実際はどうだったか。

電話があることで、連絡を取れる人の数が増え、1日に処理しなければいけない用件の数が増えました。

メールが普及することで、1日に届くメールの量が爆発的に増えました。

かえって、以前より仕事が増えてしまい、期待されていたような結果はついてこなかたのです。

最近で言えば、Zoomなんかがそうですよね。

「移動時間がなくなるから、効率的になる」

と言われていましたが・・・

移動がなくなった分、打ち合わせが増えました。

隙間時間に気軽に打ち合わせを入れることができてしまうので、むしろ以前よりもスケジュールが埋まりやすくなっているという人は多いはずです。

ジェボンズのパラドクスとは

実はこれ、経済学に『ジェボンズのパラドクス』という名前がついた概念で、150年以上前から知られていることです。

19世紀のイギリスの経済学者、ウィリアム・スタンレー・ジェボンズが発見したもので、簡単に言うとこういうことです。

『効率が上がると、使う量はむしろ増える』

元々は石炭の話で、当時産業革命の真っ只中にあったイギリスは、

『蒸気機関の効率が上がれば、燃料である石炭の使用量は減るだろう』

と考えていました、

しかし、実際には石炭の使用量は爆発的に増えたのです。

なぜか?

効率が上がったことで、工場や船にも石炭が使われるようになり、よりたくさんの石炭の需要が増えたからです。

これは時間にも当てはまります。

仕事が効率化されて時間が生まれると、その時間でまた別の仕事をする。

あるいは、効率化されたことで今まで対応できなかった顧客にも対応できるようになり、仕事が増える。

結果的に、時間は増えない。

これが、電話やメール、Zoomで繰り返し起きてきたことです。

AIが発展しても、忙しくなるだけ

では、AIではどうでしょうか。

残念ながら、同じことが起きると思っています。

AIを使うことで、今まで2時間かかっていた作業が30分で終わるようになる。

しかし、その余った1時間半で、また別の仕事をする。もしくは、AIで効率化したことで今までできなかった仕事に取りかかれるようになり、結局また忙しくなる。

実際に、AIを活用して仕事を効率化している人がよく言ってるのは、

「今までよりもはるかにたくさんのタスクをこなせるようになる!」

ということで、

「仕事が早く終わるから、余った時間を趣味や家族との時間に充てられる!」

ということではないですよね。

企業も一緒です。

では、なぜそうなってしまうのでしょうか?

その根本的な理由は、

『売上を追い続けているから』

です。

僕たちは資本主義の世界に生きています。会社であれば売上を上げることが求められ、個人でも収入を増やすことを目標とします。

効率化されて時間が生まれたとしても、その時間をどう使うかという問いに対して、「もっと稼ぐために使う」という答えが自然と出てきてしまう。

だから、いくら技術が発展しても、売上を目標にしている限りは忙しくなるだけなのです。

方向性を変えれば、話は変わる

ただ、これには抜け道があります。

それは、『目標を変える』ことです。

売上を増やすことを目標にするのではなく、自分の人生を豊かにすることを目標にする。

こうすると、効率化されて時間が生まれた時に、

『その時間でもっと仕事をしよう』

ではなく、

『この時間で自分が本当にやりたいことをしよう』

という選択ができるようになります。

AIを使って仕事が効率化された。

だから、その分の時間を使って家族と過ごす時間を増やす。趣味に使う。勉強に使う。旅行に行く。

こういう選択が、ジェボンズのパラドクスを逃れる方法です。

ただ、これは大企業に勤めている人や、チームの売上目標がある人には難しい話かもしれません。

しかし、一人もしくは小規模で活動しているFPであれば、それが可能です。

FPだからこそ、豊かな人生を目指せる

一人で活動しているFPには、売上目標を自分で設定できるという大きな自由があります。

『今月の売上は〇〇万円以上でないとダメ』

という外からの強制はなく、自分で

『これくらい稼げれば豊かな生活ができる』

という基準を持つことができます。

ある水準を超えたら、あとは時間や生活の質を追求するという選択が取れるのです。

そして、この方向性で動いているFPの方が、長期的に顧客から選ばれやすいのではないかと思っています。

なぜなら、売上を追うことに必死なFPよりも、自分の人生を豊かに生きているFPの方が、顧客から見ても魅力的に映るからです。

『このFPと話すと、人生が豊かになりそうだ』

そう思ってもらえれば、顧客と長い関係を作りやすくなります。

売上を追うより豊かな人生を追った方が、結果的に顧客も付いてくるというのは、理想論のように聞こえるかもしれませんが、実際にそうなっているFPはいますし、十分に再現できる話だと思っています。

AIが発展してきた今、その恩恵を「もっと稼ぐため」に使うのではなく、「もっと豊かに生きるため」に使う。

それができる立場にあるのが、FPです。

ぜひ、その可能性を意識しながら、これからのビジネスの方向性を考えてみてください。

石塚 駿平
株式会社FPライズ代表。独立FPに専門特化したコンサルティング、セミナー開催などを行っている。現在は依頼のほとんどを断っているが、相談料5万円の住宅相談をネットから月10名集客、開業コンサルティングを行なったFPが独立後15日で100万円以上の売上げを達成など、多くの成果を上げている。

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