執筆者:昆 知宏
住宅購入は、飛行機の操縦に少し似ているなあと最近思います。
テイクオフまでは、意外と順調。
予算を決めて、土地を探して、住宅会社を選ぶ。住宅ローンの審査も通り、契約までたどり着く。
ところが、本当に神経を使うのは、その後です。
金利が変わったり、仕様変更が出たり、追加工事が発生したり、工期がずれたりする。そして、住宅屋さんとの大小のトラブルは日常。
特に注文住宅では、建築途中でさまざまな判断を迫られます。
そして最後には、住宅ローンの実行、引き渡し、家具・家電、引っ越しまで待っています。
飛行機でいえば、天候が変わりながら航行し、最後に慎重な着陸をするようなものです。
大手のサービスは「購入する瞬間」に強い
ところが住宅関連の大手サービスを見ると、「買う瞬間」にフォーカスしたものが非常に多いと感じます。
住宅展示場、住宅情報サイト、住宅ローン比較、土地情報など。
もちろん、これは非常に価値があります。
ただ、契約した後の顧客に対して、
「この追加工事、本当に必要ですか?」
「この仕様変更をすると予算はどうなりますか?」
「住宅ローンの返済計画は、このままで大丈夫ですか?」
「完成後の家計まで考えると、ここは削ったほうがいいのでは?」
といった相談に、継続的に乗ってくれるサービスは意外と少ない。
私は、ここに個人FPのチャンスがあると思っています。
個人FPは「大手ができないこと」をやる
個人FPが大手と同じことをやろうとしても、資本力や広告力では勝てません。
だったら、そもそも同じことをする必要はありません。
大手が一人ひとりに細かく対応するのが難しいところを、私たちが徹底的にやればいいのです。
住宅購入なら、契約前だけではなく、契約後から引き渡しまで伴走する。
顧客の見積書を細かく確認する。
住宅会社との打ち合わせで出てきた疑問を一緒に整理する。
予算オーバーしそうになったときに、何を削るべきか考える。
完成後の家計まで見ながら、最後まで一緒に着陸させる。
特に注文住宅は、住宅営業の経験者など、高い専門性を持っている人ほど強いでしょう。
小さいからこそ、狙える場所がある
これは住宅FPに限った話ではないと思っています。
個人FPが大手と同じことをしても、なかなか勝てません。
大手には大手の強みがあります。
大量の顧客を効率よく対応すること、広告を大量に出すこと、システム化すること。
そこでは勝負しない。
むしろ、
「大手だったら採算が合わない」
「大手だったら一人のお客さんにそこまで時間をかけられない」
「大手だったら対応が画一的になってしまう」
そんな領域を探していく。
そして、そこを徹底的に狙う。
個人FPは、この発想がかなり重要だと思っています。
お客様からフィーをいただきやすいのも、実はこういう仕事です。
単に「相談に乗ります」ではなく、
「大手ではここまでやってくれないけれど、私はここまでやります」
という明確な価値があるからです。
住宅購入でいえば、家を買わせるところがゴールではない。
その後の航行を支え、最後まで無事に着陸させる。
そこまでやるからこそ、報酬をいただく意味があります。
個人FPは、大手と同じことをする必要はありません。